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Green side

「おはよう」

玄関を出るとカズがうちの門扉にもたれかかりながら待っていた。

顔を見せないままに挨拶する声は暗い。

ソッと顔を覗き込んでみる。

『おはよう…カズ、目が腫れてる。何かあった?』

「別にっ…何にもない」

プイとそっぽを向くくせにいつもよりピタリと寄り添いながら歩くカズ。

制服の腕の部分がピッタリくっついて、正直なところ、手を繋ぐより目立つような不自然さだ。

『やっぱり…何かあったよね?…俺には言えない?』

「しつこいっ!何にもないもんっ!」

うさぎの目をして睨みつけて来るもんだから肩を竦め苦笑いするしかなかった。

カズはこういう時、とっても分かりやすい。

前方のマンションのエントランスから翔ちゃんが鞄を肩に担いで出てきた。

それを目にして、カズの足取りがゆっくりになる。

前方を指差して

『カズ、翔ちゃん出て来たよ。一緒に』

「まーくんは翔ちゃんと来なよ。俺、今日、日直なの忘れてたから先に行くねっ!」

そういうなり、俺の返事も聞かずに猛ダッシュして先に学校へ行ってしまった。

翔ちゃんの横を風の速さですり抜けて挨拶さえしなかった。

俺は小走りに翔ちゃんに追いつく。

『おはよう!翔ちゃん』

「お~、おはよぉ~。」

翔ちゃんは挨拶しながら駆け抜けて行ったカズの後ろ姿を見ていた。

『あのさぁ…カズと何かあった?』

「ん~?あぁ…まぁ、無いっつっても無理あんだろ?これじゃ」

苦笑いを向けて来るところを見ると…

翔ちゃんが悪い訳じゃなさそうだなぁ…

「昨日、おまえら何かあった?」

翔ちゃんが軽く首を傾けて俺をチラッと見る。

『昨日…へっ?あっ!いやっ!あのっ!なっ何で?』

「いや、悪い。何かあったのは知ってんだ」

『なっ!ちょっと!人聞き悪いなぁ!何かって…何にも無いよ…逆にこっちはありたいぐらいなんだから』

「それそれ。何も無いが悪りぃんだろ?」

『ハァ?翔ちゃんさっきから何言ってんの?』

「来たんだよ、昨日アイツ、俺んちに。」

『カズが?夜?』

「あぁ。」

『え~っと…何…しに?』

ぽりぽりと頰を人差し指で掻きながら引き攣ってしまう。

昨日、俺の家からの帰りに翔ちゃんちに寄ったなら…

翔ちゃんは色々知っているような気がして気まずく感じた。

「キスより先はどうしたらいいんだって」

『はっ?!はぁ~っっ?!』

「朝からうるさいよ。だからぁ!俺が教えてやろうか?って迫ったら突き飛ばされた。」

『ちょっ!待った待ったっ!!何何??迫る?え?はい?何?翔ちゃんが?カズに?』

ダメだ!頭が朝からパニック。

何が何だかパルプンテだろが!!

冷静になれ!雅紀っ!

そうだ!翔ちゃんがカズに…

いやいやっ!やっぱおかしいじゃんっ!

俺は翔ちゃんの腕を強く掴んだ。

「おいおい、怖い顔すんなって。何もしてねぇし、する気もなかったよ。ただちょっと説教垂れたら、拗ねてアレだ。」

もう見えなくなったカズの後ろ姿を顎で指す翔ちゃん。

『…説教?』

思わぬ言葉に首を傾げる。

「そっ!お説教。我慢してる雅紀の心の声を代弁してやったのさ。ま、お前も大変だけどがんばるんだな」

ポンと胸元を拳で押され、ヨロッと後ろに後ずさる。

先を行く翔ちゃんを慌てて追いかけた。

『ねぇ…何言ったの?』

学校に着くまでにあらかたの話を聞いた。

まぁ…つまり…死ぬほど可愛いって事でいいんだろうな…

俺は靴箱で上靴に履き替えながらニヤニヤしてしまった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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