19

Green side

使われていない空き教室から飛び出して行く恋人の後ろ姿を口を開けて見つめていた。

今…なんて言った?

“我慢しなくていい”

我慢…しなくていいの?

あんな真っ赤な顔して!!

俺を野獣にでもするつもりなのか?!

ツンデレのデレ…マジでヤバい。

顔を両手で覆って大きく息を吐く。

チャイムが鳴って、ガバッと顔を上げ教室に急いだ。だけど…廊下に出た俺は頭を抱える。

ダメだ!!!

頭ん中ピンクな事しか巡らない!!

え?だって…だって…カズにあんな事やこんな事をしていいって事だよな?

いや待て!!

待て待て…こんな上手くいっていいのか?

いや!まだだ!まだ何にも上手くいってないんだった…

あぁ…もうヤバい!思考がまとまんないどころかぐっちゃぐちゃだ。

「こら相葉っ!!お前廊下でなに百面相してんだ!」

先生にパコンと出席簿で頭を叩かれる。

『ぃって!…ぁ…先生か』

「先生か、じゃないっ!!お前、遅刻にすんぞ!」

『先生っ!それは勘弁っ!』

俺は先生の脇をすり抜け先に教室に入る。

大きく両手を開いて屈んで見せる。野球の審判のポーズで

『セーフッ!!先生より俺、先に教室入ってましたからねぇ~!』

「おまえなぁっ!そういう悪知恵だけは働くんだから!」

ギャハハ!と教室が賑やかな笑い声に包まれる。

俺は何とか平常心を取り戻して席についた。

休み時間になると、きみちゃんがまっさきに俺の席にやってきてムスッと呟く。

「またあのチビか」

苦笑いしながら

『きみちゃ~ん、チビじゃなくてニノ!みんなそう呼んでるだろ?』

「相葉ちゃんはカズって言うてるやん。みんなちゃうし」

もぉ~…屁理屈だなぁ…

『まぁまぁ、きみちゃんもカズも仲良くして欲しいよ。俺、二人とも大好きだからね』

「…幼馴染みってそんなええもんか?俺には分からんわ。」

きみちゃんは机に頬杖をついて白いほっぺを歪ませた。

1度だけ聞いた事がある。

きみちゃんの家はあんまりいい環境じゃないらしい。

学校にバイトの申請も出してるし、働いているせいかたまに見せる横顔がずっと大人に見える事があった。

『きみちゃん、今日もバイト?もし休みだったらうちに遊びに来ない?あ、遊びにつっても何にもない部屋だけど』

きみちゃんは頬杖をついていた手を離し、ビックリした顔で俺を見た。

『あっ、もし!良かったらだよ?』

「ほんまに?…行ってもええの?」

『もっ!勿論だよっ!!』

あぁ…ビックリした。目、見開くからそんな嫌だったのかと焦ったじゃんか。

「今日、シフト入ってないねん!行かして貰うわ!」

凄く嬉しそうに微笑むきみちゃんは、急に同い年の男の子になる。

俺は、そんなきみちゃんで居てほしいなぁ…なんて、勝手な事を考えていた。

友達には、寂しい顔より笑ってて欲しいもんな。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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