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その夜、庵司のマンションに初めて入った。

想像していたより良いマンションで、入る前に建物を見上げたくらいだ。

夜職の匂いしかしないような形のせいか、違和感は無かったんだ。

きっとNo.1ホストとかで、金回りは良いに違いないと思った。

『サンキュ…助かったわ』

「じゃ、俺はこれで」

リビングのソファーに座らせて肩に回していた腕を下ろした。

離れようとした瞬間、手首を掴まれ引き戻される。

バランスを崩して、そのまま庵司に抱きつくように倒れ込んでしまった。

「わっ!ごめんっ!大丈夫っ!?」

慌てて離れようとする俺の身体を力強く抱きしめて、耳に唇が触れるのを感じた。

「ちょっっ!!」

『シー…黙ってろよ』

庵司はそう言って俺の頭を抱き寄せた。

身動きが取れない。

ソファーに座った庵司に覆い被さるように抱き寄せられ、頭の中がパニックを起こしていた。

『雪乃…良い匂いがする』

「そっ!そんなはずないよ!今朝だって満員電車に揺られて、煙草まみれの中で酒呑んで…親父臭い匂いしか…」

言ってて虚しくなる。

『確かに、煙草と酒の匂いもするな…でも…ここからは雪乃の匂いしかしないよ?…すげぇ…エロい匂い』

首筋に鼻先を寄せてそう呟いた庵司はツゥーッと舌先でそこを舐めた。

ビクッと身体がしなって、胸元に手を突き、顔を見合わせた。

「…ど、どういうつもりだよ」

『さぁ…』

ニヤリと笑う庵司の顔は悪魔みたいに綺麗だった。

逃げられないと

そう感じていたんだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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