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圭介さんはバーから出た別れ際に、俺に携帯の番号を登録させた。

「雪乃くんは…自分が不幸体質だって思わない?俺、治せる自信あるからね」

圭介さんの口説き文句に照れ笑いしてしまう。

「圭介さんこそ…絶対モテるくせに、俺なんかに構ってたら不幸になりますよ」

圭介さんは苦笑いしながら俺の頰を撫でた。

「キスしても良い?」

俯いていた俺は上目遣いに圭介さんを見て、頰に添えられた手を握り首を左右に振った。

「ダメ」

「…意地悪な子だな」

そう言うと圭介さんはお構いなしに俺に口づけた。

頰に添えた手が俺の顔を上向かせ、身長差があるあまり、爪先立ちになる。

ゆっくり離れた唇。

圭介さんが指先で俺の唇を撫でると言った。

「電話しておいで。いつでも構わないよ。じゃ、おやすみ」

立ち去る背中が人混みに紛れて、見えなくなりかけた頃に、ようやく独り言みたいに呟いた。

「おやすみ…なさい」

まるで連行されるように居なくなった庵司。

追いかける事が出来なかった。

追いかけたら、庵司に許して貰えなくなる気がした。

スーツの怖いお兄さん達にも日和ってしまって足が動かなかった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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