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玄関が開いてさっきの男が入ってくるなり俺を見て口を覆った。

「怪我をしてるのは…庵司じゃなかったのか?」

声をかけられて初めて自分の姿を見た。

両手は血塗れ、もちろん服も血の海を転げ回ったかのようにドロドロだった。

「ぁ…あのっ…俺っ!俺じゃなくてっ!」

男は俺の視線を追うようにして、玄関を入ってすぐの廊下を見た。

スタスタと躊躇なく庵司に歩みより、手にしていた鞄から聴診器が出てくる。

医者なのか?!

「だ、大丈夫なんですか?!」

「ハサミあるか?」

「は、ハサミ?」

「気を失ってるっ!服を脱がしてる暇はないんだよっ!」

キツく叱られ、もつれる足をキッチンに向けた。

手に大きなキッチンバサミを握って廊下に戻る。

男は容赦なく庵司の服にハサミを入れ、ジャキジャキと布を切り裂き彼を裸にした。

開いた服の中を目にして嘔吐感が沸く。

「ぅゔ…っ!」

左脇腹あたりの肉がリアルにピンクの中を見せていた。

「向こう行ってろ。気持ちいいもんじゃねぇぞ」

込み上げる嘔吐感を抑えて呻く俺を男は追い払う。

「す、すみません!でも何か俺に出来る事は」

「点滴を吊るせそうなもん、寝室に用意しとけ。あとは…顔を拭くタオルでも用意しとくんだな」

「は、はいっ」

廊下を後に寝室に言われた通り、点滴を吊るせそうなハンガーラックを引っ張りだした。

洗面器にお湯を張ってタオルを用意する。

気が動転しすぎて完全にパニックだったけど、こうして別の部屋に来て初めて少し冷静になっていた。

庵司は初めて会った時もボロボロだった。数日前に見た龍堂会との関係…。

救急車や病院を嫌がる理由。

明らかに医療行為に長けている怪しい男。

思うに…ここまで来たら彼は闇医者だとしか思えなかった。

ドラマの中だけしか起こらない状況が、庵司といると当たり前のようにして巻き起こる。

ベッドの縁に腰掛け、顔を覆ってうずくまった。

庵司は…一体何者なんだろう…

ヤバい事だけは確かだよな。

でも、俺…今更無理だ…。

庵司と離れたくない。

ただ

離れたくないんだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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