25

燕さんが帰ってしまった。

俺は寝室に横たわる庵司に歩み寄る。

『こっち来いよ』

庵司がニヤリと笑う。

痛むんだろう、笑い切らない引き攣った表情だ。

俺はそっとフローリングに膝を突いて庵司の頰に唇を寄せた。

「死んじゃうかと思った」

『…ただいま、雪乃。』

「おかえり…なさい」

『雪乃…』

名前を呼ばれて、身体に負担が無いようにソッと頭をかかえるように抱きついた。

スゥっと庵司が俺の首筋の匂いを吸い込むのが分かる。

『雪乃の匂い…シたくなる』

「バカ…絶対させないからな。…早く、治さなきゃ…」

『…雪乃』

俺を呼ぶ声があんまりに愛しくて頰を撫でる。

「庵司…もう、俺から離れて行かないでよ。好きで…苦しいよ」

庵司は目を細めて俺を見つめる。

『雪乃…隣で寝ろ』

「狭くなっちゃうよ。傷に障るといけな」

『じゃあ、点滴抜く』

「ばっ!バカ言うなよっ!!」

『ほら、来いよ』

俺は渋々庵司の横に身体を寄せた。

庵司の体温が生きてる事を知らしめて、俺は満足していた。そっと擦り寄ると、窓の外はもう明るくて、月明かりに庵司の髪がキラキラ光る事は無かった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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