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「雪乃ちゃん、聞いてもそこに幸せがない事もあるんだよ…。今回庵司は下手を打った。…正直、あのスーツは謝罪しに行く時に…雪乃ちゃんが選んだ物を着ていたかったんだろう…」

「な、なんですか?それ…そんな言い方、まるで」

「死に際…みたいか?」

自嘲気味た笑みを浮かべる燕さんは頭を掻いた。

「ヤダなぁ…やめて下さい。そんな…」

俺は昨日、庵司が俺に家を探せと言ったのを思い出していた。

別れるか…なんて…まさか…

「燕さん…庵司…死んだりしませんよね?」

隣りに座る燕さんを見つめる。

「雪乃ちゃん、庵司は昔、龍道会の組長に拾われたんだよ。まだ10歳の頃だ。胸元に古傷があるだろ?母親に刺されて死にかけだったんだ。俺の親父が組お抱えの闇医者だった。アイツの傷は親子2代で縫い続けてんだよ。アイツはさ、龍道会に恩がある。だが…あんな性格だろ…馴染むわけも無くてな。若いのとしょっちゅうどんぱちで…上もしめしがつかないってんで、庵司にある仕事を単独でさせたんだ…それが俺と腐れ縁になったきっかけだ。…汚れ仕事なもんで誰もやりたがらない。アイツは、ある意味感情が欠落してんだよ。この仕事に手をつけてから、組のモンもガタガタ言わなくなった。」

俺は身体が震えている事に気づいていた。

止めようと、膝を掴んだけど…ダメで…。

「絶対に失敗は許されない仕事だ。…絶対に…」

「さっき下手打ったって!!それじゃあ!庵司はっ!」

「シッ!!静かに!庵司に聞こえるぜ。…雪乃ちゃん…悪い事言わないよ。アイツのこの先はそんなに楽な道じゃない。もう…庵司を…捨てな」

喉が引き攣った。

水分を全部持っていかれたような緊張感。

どういう意味で、言ってるの?

燕さんまで

どうして?

庵司を

助けてくれたじゃないか

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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