30

それから一週間が経った。

庵司の傷は良くなってる。

そして、素行はすこぶる悪くなる一方だった。

ある夜、俺が仕事で疲れてソファーで眠ってしまった日。

庵司は家に居なかった。

まだまだ出血したっておかしくない傷を抱えてるくせに…

帰って来ないはずの男は朝方、薄いピンクが混じる空と一緒に帰ってきた。

男を連れて。

甘い香水と、苦いタバコの香り。

俺の眠る側で、うんと若い男を抱く音がする。

涙が鼻をつくのを堪えながら、寝返りを打つ。

背中で、ローションが卑猥な音を立てて快楽を貪る喘ぎ声が響いた。

聞こえない!

見てない!

俺は!眠ってるんだから!

どうしてこんな事をするの??

庵司が分からなかった。

俺が起きたら?

目の当たりにしたら?

俺はどうすればいいの??

明烏が鳴く頃

庵司は何かを諦めたように男を連れて出て行った。

部屋を出る前に、俺の髪を撫でたのは

何故…

どうして?

どうして、そんな汚い手で優しくするんだよ…

触れられただけで分かる。

庵司の

優しい手。

「ぅ…ぅゔ…庵司ぃ…ヤダ…ヤダよ…側に…居てょ…うぐっ…ぅ…ぅゔ…」

一人きりになった部屋で

目が腫れるまで泣いた。

庵司は元々酷い男だった。

優しさを期待してるわけじゃない。

だけど…

庵司が何をしたいのか分からないせいで、俺まで混乱してたように思う。

燕さんは定期的にうちを訪れ庵司の傷を診た。

その度に

彼は冷静に

俺に庵司との別れを促した。

庵司に買ったスーツは

まだ

箱から出されていない。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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