31

『雪乃、おまえ海好き?』

「え?海?」

突然の提案だった。

庵司が俺と海に行きたいなんて言い出した。

「もうクラゲが一杯で泳げないよ?」

『ハハ!おまえ、俺が泳ぐわけねぇだろ!』

「そ、そうだよね。庵司が泳ぐの想像出来ないや」

『雪乃は泳いでいいぜ。全裸希望』

「ばっ!バカな事いうなよなっ!」

『ふふ、怒んなって。…俺、海の近くで生まれたらしいんだよね。…陽が水平線に沈むのだけ覚えてるんだよ。一人だったか…お袋か親父が一緒に居たのか覚えてねぇんだけどさ』

ヒヒッと少年みたいな笑みを浮かべると、タバコを咥えて火をつけた。

海の近くで

育ったんだ…

俺は猫背な後ろ姿を背後からそっと抱きしめた。

『雪乃?』

庵司が不思議そうに首だけで振り返り声をかけてくる。

「庵司…好きだよ」

『…雪乃は変わってるな。みんな俺を好きじゃない。』

「バカだな…みんな…庵司を独り占めしたくて必死じゃないか…」

『ハッ…とんだ妄想家だ』

庵司の手が腰に回る。

首筋に激しくキスマークをつけ始め、ゆっくり押し倒され、シャツを脱がされる。

庵司と身体を重ねるたびに

怖くなる。

『スーツ、そろそろハンガーにかけとけ。』

胸元を愛撫されながら呟かれた言葉に、どうしてだか首を絞められたような息苦しさを感じて、俺は返事を

しなかった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です