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寝室にある窓から見える景色は暗くなり、数時間が経った事だけが分かった。

ガタンと音がして、誰かが入って来たのが分かる。

燕さんが言った事…本当は全部うそだったりしない?

俺と別れたいだけで演技してるとか?

それなら…嫌だったとこ全部直すから一緒に居ようって…

俺とずっと

だから…死んだなんて冗談…やめてもらうんだ。

コンコンと寝室の扉がノックされて

キラッと寝室の照明に反射した…ブロンドの

「庵司っっ!!」

俺は叫んで、点滴が繋がっている事さえ忘れて、ベッドから飛び起きて入って来た人物にしがみついた。

震える足で立てず、胸元の服を掴んで縋りついた。

「…雪乃くん…俺だよ…」

優しく抱き寄せられ、ゆっくり顔を見上げると、圭介さんが

泣いていた。

「なん…で…」

髪の色に驚いて呟く俺に、圭介さんが言った。

「雪乃くんが…庵司と生きてくなら…俺がアイツになる。…雪乃くんの中で、整理がつくまで…庵司でいる。」

「……何言って」

「圭介は居ない。庵司と生きるんだよ…雪乃」

髪をブロンドに染めて戻った圭介さんが、泣きながら俺を抱きしめて、バカな事を言う。

「どうして…どうして俺なんかの為にそこまでするのっ!!何でっ!」

「燕さんから全部聞いたって…言ったよね?アイツ、雪乃くんに嫌われようと必死だったらしいね。別れたら、知らずに済む事だからって。だけど、アイツは雪乃くんを愛し過ぎてたって。結局、芝居を打って…何食わぬ顔で離れるなんて…俺ね、アイツ…すげぇとか思ってる。こうなる事、分かってて雪乃くんの事ばっかり考えて…。普通なら、自分の事で精一杯になるよ…それだけ大切な人だったんだなってちょっと怖いくらい感じた。アイツが本気じゃないなら行くなって言ってた意味、分かったんだよ。俺はその時、こんな事になってるなんて思ってなかったけど、ちゃんと本気だから埠頭に行ったんだ。雪乃くんが好きだから。好きだから分かる事って…あるんだよ。君は今…俺を愛せない。この先は?それも分からない。…だったら、俺は俺じゃなくて良い。庵司の代わりで構わないんだ。」

「かっ構わないわけないよっ…そんな事っ」

圭介さんが俺を強く抱きしめた。

「一人にしたくないんだっ!!…君は…そうでもしないと…死ぬ気なんだろ?お願いだよ、雪乃くん……俺と……生きて」

冷たくなっていた身体が、熱い圭介さんの腕に包まれ温かい。

ゆっくりブロンドの髪に手を伸ばす。

「俺は…庵司を忘れない…きっとこの先もだよ?」

圭介さんがゆっくり額を合わせてくる。

近づいた顔を見上げると、庵司とキスをする時みたいに、視界の先でキラキラとブロンドの髪が揺れた。

チカチカと目眩がする。

何が現実か分からなくなりそうだった。

「いつかさ…願いが叶うなら…俺を見て欲しい。でも、それは今じゃないから。」

いつか

願いが叶うなら…

「じゃあ…いつか願いが叶うまで…圭介さんは…俺を一人にしないでくれるの?」

圭介さんが俺の頰を撫でる。

俺は彼の真っ直ぐな瞳を見つめて、ハッキリと呟いた。

「庵司…愛してる」

俺はそう呟いて、庵司のフリをさせた圭介さんと唇を重ねる。

「庵司…ぅゔ…んぅっ…庵司…愛してる…ぅ…ぅゔ…ぅ…」

泣きながら、舌を絡めて、庵司の名前を呼ぶ。

そうする度に、圭介さんの首を緩く絞めていくのが分かる。

圭介さんを傷つけて、苦しめるんだ。

だけど…やめられない。

庵司の名前を呼んで、庵司だと思って良いなら俺は圭介さんでさえ

きっと壊せてしまう。

いつか願いが

    叶うまで…

「ねぇ…庵司、また陽が沈むのを、見に行こう」

圭介さんが涙を流しながら

「あぁ…行こうな」

と虚ろな目をした俺の唇に触れた。

俺はソッと彼の首に腕を回す。

「庵司…大好き。」

庵司は

    生きてるじゃないか。

END

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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