56

Green side

ホテルで朝を迎えた時のように、まったりする時間はさすがに無かった。

吐き出した白濁を丁寧に拭いてやり、簡単に服に袖を通すと下に降りて家族の居ない間にシャワーを浴びた。

『カズ、寒くない?湯冷めしないといいけど』

「まーくんは心配性だなぁ。大丈夫!」

外はすっかり夕暮れ時。

オレンジと紫の境目で昼と夜が重なり合ってる。

「まーくん、空綺麗だね。」

『うん!綺麗だね。』

少し顔を傾けて薄い唇を塞いだ。

ゴォッと車が近づく音がして、母さんの車が不器用に車庫入れを始める。

俺達はそれをこっそり盗み見て、窓から離れた。

カズを階段下まで送って降りた時、ちょうど母さんが玄関を入って来たところに出会した。

「あら、カズくん帰っちゃうの?ご飯食べて行かない?沢山唐揚げあるのよ!」

「あ、今日は大丈夫です!もう遅いから、うちもそろそろご飯だと思うんで」

「そう?」

「はい!じゃ、まーくん、また明日ね!」

靴を履き終わったカズが振り向いて手を振った。

バタンと扉が閉まる。

母さんがカズを見送った体勢からゆっくりこちらを向いた。

クンクンと鼻を鳴らして

「あんた達、お風呂入ったの?」

なんて言うから、俺はキュッと身体が縮まる思いだった。

『今日、翔ちゃんちに行ったり、他の友達の家に行ったりして、めちゃくちゃ汗だくになっちゃったから、順番にシャワー浴びたんだ!』

母さんはふぅん…と呟きながら、バックを肩にかけ直し、ハイヒールを脱いだ。

家に入って、キッチンに向かいながら伸びをするのを後ろから上目遣いに見つめる。

「日が長くなったけど、もう遅いから!ご飯にしましょ!お腹減ったぁ~。父さん、更に遅いから二人で先に食べちゃおうね!」

いつもと変わらない何気ない会話に、俺はホッと胸を撫で下ろしていた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です