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朝礼が終わり仕事が始まる。

バンバン入る注文。空になるビール瓶。

飛び交う歓声、怒号、野次。

アルコールの魔法の中でそれぞれの人間模様が今日も繰り広げられる。

『いらっしゃ…燕さん、榊さん、いらっしゃい!えっ!!雪乃っ?』

燕さんと榊さんの後ろから雪乃がニッコリと顔を出した。

「へへ…待てなくて…来ちゃった」

ちょっと照れたように頰を赤くする雪乃。

か…可愛い…

俺はギュッと拳を握って興奮を抑えた。

『連れてくるなら言って下さいよ』

燕さんに耳打ちすると

「サプライズだよ!嬉しいくせに!顔に全力で書いてあるぞ」

『バッ!バカな事言わないで下さいよっ!』

「あははは!相変わらず素直で、可愛い奴だ。」

燕さんに絡んだところで勝てないのは分かっていた。

溜息をついて席を案内する。

奥のテーブルに付いた雪乃に声をかけた。

『あんまり飲みすぎるなよ。』

「うん!気をつけるよ」

雪乃の返事を聞いて立ち去ろうとしたその瞬間、天馬がオーダーを取りにきた。

「お、昨日の可愛いペットちゃん」

燕さんがニッコリ微笑む。

『燕さんっ!ペットじゃなくてうちのバイトですってば!』

「燕、昔っからこういうのタイプだよな」

榊さんのツッコミにニコニコする燕さん。

『あんたバイかよ!』

「博愛主義って言ってくれたまえ。」

雪乃はクスクス笑ってる。

天馬はムッとしながら、

「お飲み物は!」

とキツく当たった。

「天馬…くん…」

雪乃が天馬を見上げる。

「は、はい…何ですか?」

「圭介さん…俺のだから…ごめんね」

すまなそうに笑ってそう告げた雪乃に驚いた。

そんなにヤキモキを妬いているようには思ってなかったからだ。

天馬は顔を真っ赤にして離れて行った。

『雪乃』

「ごめん、圭介さん…俺…意地悪言っちゃった…」

『い、いや…大丈夫だ。気にすんな』

「天ちゃん今フリーかぁ…」

燕さんがニヤニヤする。

『燕さんっ!本気じゃないならやめてくださいね!一応うちのバイトなんで!』

「本気なら良いんだろ?」

「あはは!燕、まさか惚れたか?」

榊さんが揶揄うと燕さんがニッコリ笑ってつぶやいた。

「久しぶりに燃えそう」

なんて、榊さんとの会話を聞いていたら、ドッと疲れた。

三人に適当にビールを運び、酒のあてを持っていく。

その度に雪乃はコロコロと可愛らしく笑って楽しそうだった。

それにしても…

雪乃から独占欲を見せて貰えるってのは、最高に気分が良い。

俺は思い出しては綻ぶ顔を止められず、藤田くんにキモいっすって怒られた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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