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燕さんと榊さん、雪乃を交えた忘年会は雪乃が酔い潰れて終了を迎えた。

燕さんがすまなそうに雪乃の髪を撫でる。

「見てたんだけどな、悪い。急に潰れちまって」

『あぁ…気にしないで下さい。いつもなんですよ。良く分かんないタイミングで潰れるから。』

テーブルに突っ伏した雪乃はスヤスヤ夢の中だ。

「家に送っとくよ」

燕さんの言葉に時計を一瞥する。

『いや、俺もうすぐ上がりなんで事務所に寝かしときます。』

「そうか?悪いな…」

『気にしないで下さい。雪乃…楽しそうだった。また誘ってやってくださいね』

「おぅ、もちろんだ。あ、あと、天ちゃんは?上がりじゃねぇの?」

コソっと耳打ちしてくる燕さんに、榊さんが呟く。

「おまえ、マジで狙ってんの?」

「悪いかよ。あのキツい性格たまんねぇじゃん」

俺は二人の会話に肩を竦める。

榊さんは先に帰って行った。

俺は天馬のシフトを確認する。

しっかり俺と合わせて早番になってる。

『天馬も俺と同じですね。あと一杯くらい飲めますか?そしたら上がり時間なんで』

「そっかぁ~…じゃ、あと一杯」

燕さんはニコッと微笑んだ。

雪乃を事務所のソファーに寝かせ、ビールを燕さんに出すよう天馬に頼む。

天馬はジョッキのビールを運び、燕さんと何か話していた。

俺はそれを横目に、事務所で寝かせた雪乃が気になって仕方なかった。

サッサと片付けを済ませて、事務所へ戻る。

藤田くんがその辺にあったブランケットを雪乃にかけてくれる所だった。

『藤田くん、ありがとう。ごめんな』

「いや、大丈夫っすよ。何か寒そうだったんで。早番上がりですか?」

『うん、今日はたまたまね。』

「この人…店長の?」

俺は藤田くんが言いたい事を理解して微笑んだ。

「そうですか、じゃ、俺、戻りますね」

藤田くんも微笑むと事務所を出て行った。

『うん、サンキュ』

事務所から藤田くんが出て行く。

俺は膝を突いて雪乃を覗き込んだ。

『雪乃…雪乃ぉ…帰ろ』

長い睫毛にキメの整った白い肌。

瞼に優しくキスをすると、雪乃は小さく呟いた。

「圭介…さん…」

俺は息を飲んだ。

寝言で…俺を呼ぶなんて初めてだ。

雪乃の中で、整理がつき始めてる…。

俺は…

あの指輪を

ちゃんと渡せるだろうか…。

一瞬息が詰まる思いがしたけど、雪乃の顔を見ていたら、果たさなければならい事だと感じた。

あのブロンドの

宝石商の為にも…

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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