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指輪の経緯を説明してから、あの不思議なアンティーク調の宝石商の話をした。

二人、手を繋いで真新しい北欧風の白い建物をしたアクセサリーショップを見上げる。

「本当に…ここ?」

『うん…だって…実際刻印を…』

俺はハッとして雪乃に渡したリングケースを開いてみた。

『っっ!!?そんなっ!!』

「どうしたの?!」

『ないっ!!雪乃っ!!見たよな?!ちゃんとっ!ちゃんと三人のイニシャルがっ!』

雪乃は自分の分の指輪を手に内側を見つめた。

「本当だ…Y&Kになってる…」

俺は頭を抱えて軽いパニックだった。

今まで霊感なんてあった試しがないし、幽霊だって見たこともない。信じない訳じゃないけど、こんな事が起こるはずないんだ!!

すると、白い手がスッと俺に伸びてきた。

『ゆ、雪乃?』

「コレ…つけて」

雪乃は穏やかに微笑んだ。

指輪を俺の手のひらにソッと置く。

渡された指輪と雪乃を交互に見つめた。

それから、ゆっくり雪乃の左手を自分の左手に置いて右手で摘んだ指輪を薬指に押し通した。まだ動揺で手が震える。

『何だよ…クソ…さすが庵司だな…サイズ、ピッタリかよ…』

雪乃は指に輝く指輪に目を細めた。

「庵司…カッコつけだからね…きっと後はおまえらでやれよって自分の分消しちゃったんだね。…何だか庵司らしいよ。何でも勝手にやっちゃうんだから…」

『雪乃…』

「圭介さん…指…出して」

俺はまだ軽い興奮の中、震える指先を差し出した。

雪乃が俺の左薬指に指輪を通す。

「圭介さん…大好き」

ギュッと抱きしめられて深い息が漏れる。

「ふふ…圭介さん震えてる」

『ゆっ!雪が降ってるからっ…寒いんだよ』

「うん…寒いね…だから…ギュッてして」

俺は雪乃の震える声を聞いて、肩を掴んで顔を覗いた。

ポロポロと涙を流すのを我慢してはいるけど、その大粒の涙を止められないまま笑顔を作る雪乃が、あんまりに綺麗で、俺は強く抱きしめた。

『愛してる…幸せにする…今度…庵司の墓に…挨拶に行こう』

雪乃は静かに泣きながら頷いた。

俺と雪乃は…疑わない。

あの宝石商の女は庵司の化身。

指輪の刻印を最初から二人だけの名前になる様に、わざわざ仕組みにやって来た。

二人で生きて行けよ バーカ

そう聞こえた気がして…

雪が舞い散る空に向けて

俺は小さく

頷いた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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