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yellow side

「こちら大野智くん、こっちに来たら昔は良く一緒に遊んだんだよ!ほんっと久しぶりだね!」

「どうも、大野です。本当だなぁ~!翔くんの友達だったんだぁ。あ、これ、持ってってよ。どーせ、翔くんも坊主だろ?ふふふ」

「参ったな、お見通しか。ヨコは?」

翔ちゃんが振り返ってヨコを見つめる。

ヨコは口を尖らせて肩を竦めた。

「じゃあ、お言葉に甘えて。バケツ、花江さんに渡しておくからまた受け取って!」

「おう!分かった。じゃ、また!」

「智くんっ!」

「んー?」

「一緒にお昼どう?」

「あぁ…悪い、今から課題の絵を仕上げないとなんねぇんだ。煮詰まっちゃって釣りに来ただけなんだよな。」

「そっかぁ、残念だな。じゃあまた!」

「うん!またっ!」

サンダルの大野さんは竿を担いで行ってしまった。

バケツの中で魚が跳ねる。

俺達はそれを眺め、みんなして笑った。

揃いも揃っておこぼれにあずかる始末。

勝負なんてあったもんじゃなかった。

ログハウスに戻ると、花江さんと華ちゃんが昼食の準備にやって来ていた。

二人に活きの良い魚を見せる。

「まぁ、こんな!朝から釣りに?」

花江さんが驚く。

華ちゃんもすご~いと目をキラキラさせた。

俺達は全員苦笑いして、事の真相を話す。

「智くんと出会ったの?あらぁ、久しぶりだったでしょう!絵と釣りばっかりでね。なんだか仙人みたいな子よね、ふふふ。じゃ、バケツは後で返しておきますね。」

昼食は魚を捌いてくれる事になった。

刺身と天ぷらと、焼きで何だかフルコース。

花江さんが用意してくれた他の魚介類も一緒に楽しんだ。

花江さん、華ちゃんも一緒に昼食をとり、後片付けまでお世話になって、俺達はリビングで次の遊びを考えていた。

「夕方からは出店も並んでお祭りムードになりますよ。良いタイミングで来れて良かったですね。」

花江さんがタオルで手を拭きながらそう言った。

「お祭りかぁ…楽しみだね!まーくん」

『うん!』

夕方までの時間はトランプをしたり、プライベートビーチで少し泳いだり、なんだかんだと出来る遊びを限界までやり尽くした感じだった。

『詰め込んだねぇ~、さすがに疲れたぁ』

ビーチバレーにビーチフラッグ、ボート競走に岩場までのタッチリレー、ログハウスではトランプ勝負に始まり、ウノとジェンガでシビアに戦った。

もう、クタクタな俺達はオレンジに染まり始めた空をログハウスのデッキから眺める。

そこへ花江さんが紙袋を片手に戻ってきた。

「皆さぁん!浴衣っ!着てみませんか?」

全員声を揃えて浴衣?!と驚いた。

どうやら花火大会という事で、事前に準備してくれていたらしい。

花江さんの隣には、淡いピンクの浴衣を着た華ちゃんが恥ずかしそうに立っていた。

ヨコがパァッと表情明るく華ちゃんに駆け寄る。

「うわぁっ!むちゃくちゃ可愛いやんっ!!似合ってる!!」

「ほ、本当?嬉しい♡」

俺達はそのやりとりを微笑ましく見つめていた。

すると、まーくんがソッと俺に耳打ちする。

『俺もカズの浴衣姿…見たい。』

ゾクッとするような甘い声に振り返ると、まーくんはニッコリ微笑んだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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