92

Green side

女の子の浴衣は綺麗で可愛いと思う。

男物の浴衣は、色とりどりな訳じゃない。

なのに…何、この破壊力。

「 ど、どう?似合うかな?」

花江さんに着付けて貰って部屋から出て来たカズは控えめに俺を見上げた。

白っぽい浴衣がカズの白い肌を際立たせている。

気付かないうちに鼻を摘んでいた。

「な、何?!臭いの?俺」

『ちっ!ちがふよ!あんまひきれひだから』

「まーくん、何言ってるか分かんないんだけど…」

カズが眉間に皺を寄せる。

俺は慌てて鼻を摘んでいた手を離した。

『凄い…綺麗だからさ…エロい事考えちゃって…鼻血出そう』

くふふ…と笑うと、カズは真っ赤になって俯いた。

『カズ…怒った?』

「まーくん、そんなにエッチだったかなぁって」

『カズ、どんどん綺麗になるんだもん…俺、結構我慢してるんだから』

「まーくん…」

「よぉーしっ!全員着付け終了~」

最後に着付けをした翔ちゃんが元気よく部屋から出て来た。

俺とカズの良い雰囲気を察知した翔ちゃんはニヤリと微笑んだ。

俺にツカツカ近づいて来るなり、耳打ちする。

「ログハウスを全員で出る。花江さんの手前な。後は…それぞれで」

俺は目を輝かせて、うん!と力強く頷いた。

海岸通りは随分と賑わっていた。

キミちゃんは華ちゃんと、翔ちゃんは松本と。

俺は勿論、カズとペアを組み、バラバラに行動する事になった。

あんまりに人通りが多いから手を繋ぐのも気が引ける。

「まーくん、凄い人だね」

カズは元々人が多いのが得意じゃない。

少し押され気味に俺の横を歩く姿を見て、我慢出来なくなった。

掴んだ細い手首。

そこから、指を絡めて恋人繋ぎすると力を込めて握った。

ビクッとカズの手が強張って、不安そうなブラウンの瞳が揺れる。

『迷子になったら…困るから』

「な、なんないよ」

『じゃあ…好きだからっ』

カズは弾かれたような顔で俺を見つめた。

『…浴衣姿のカズと……俺は手が繋ぎたい』

ギュッと握った手を軽く引き寄せる。

カズは困ったような顔をして、フイと視線をそらせながら呟いた。

「皆んな変に思うよ」

『カズ…ヤダ?』

「まーくんは…平気なの?」

『俺は平気だよ。カズが一番大事だから…ヤなら…言って』

「ヤじゃ…ないよ…だけど…ちょっ!まーくん?!待ってよ!」

カズの手を引き、人混みを避けて歩き、人気のない灯りさえない砂浜に来た。

月明かりだけが打ち寄せる波に反射してキラキラ光っている。

遠くで、流行りの音楽が鳴って、スピーカーから聞こえる迷子アナウンスなんかがうっすら響いてくる。

『普通じゃなくて…いいって言ったじゃん』

そう呟くと、手を離して砂浜に座り込んだ。

正直、これ以上どう説明していいのか分からず、少し投げやりだったかもしれない。

そうしたら、後ろからカズがギュッと抱きついて来た。

『か、カズ?』

「ごめん…」

エッチをしてから…カズのツンデレは随分影を潜めた。

素直に謝るカズの巻き付いて来た腕を撫でる。

「まーくん…嫌いになんないで」

そう言ってカズが首筋に顔を埋めた。

ピチャッと水音が耳の側で聞こえたかと思うと、カズが俺の首筋に舌を這わせ始め、驚いた俺は、目の前に打ち寄せる波に視界がチカチカしていた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です