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Green side

浴衣を直して外へ出ると、花火は終わってしまっていた。

ゾロゾロと人の群れがあちこちに散って行くのが見えて、俺はカズ

の顔を見下ろした。

『大丈夫?』

「うん…」

何が大丈夫かって…正直なところ、よく分かって聞いてるわけじゃなかった。

空がさっきよりずっと静かで、月だけがぼんやり光っていて、人が無関心な表情で家路を行く様を、タイムスリップでもして来たみたいな俺たちが見ている。

なんとなく祭りが終わって行くという感覚と、明日には元の生活に戻る寂しさが重なって、脱力したのかもしれない。

「寂しいね…なんかこの雰囲気嫌だ」

カズの言葉にハッとした。

同じ事を

感じ取っていたかと思うと、心が安心して、笑みが漏れた。

『俺も同じ事思ってた。お祭りの後って…なんかすごく寂しいね』

カズも俺と同じようにハッとした顔をしてから、嬉しそうに笑った。

『みんなログハウスに戻ってるかな?』

「うん、そうだね…帰ろっか」

『だね…』

二人で居るのに

寂しい…

二人で居るから

すごく寂しい…

カズの手を取って握った。

「まーくん…」

『人…居ないし…暗いから平気だよ…誰も見てない…ね?』

そう呟くと、カズは繋いだ手をギュッと握り返してきた。

潮の香り

繋いだ手

終わって行く…夏休み…。

感傷的になる、まだ子供じみた心が、まだまだカズと二人で居たいと叫んでいた。

だけど、俺もカズも口に出さない。

ゆっくり歩いて、ログハウスに戻った。

リビングには翔ちゃんと松本、キミちゃんがソファーに座って談笑している。

『ただいまぁ~』

明るく声をかけると、

三人は振り返りにやっと笑った。

「何ぃ?なんか楽しそうな顔するじゃん」

カズがそう言うと松本が

「ヨコ、告白成功したんだ」

とニカっと笑った。

『マジっ!!!』

キミちゃんは少し照れながら

「へへ、マジ…」

と頭を掻いた。

そこからは当然!

どんなシチュエーションで何て告ったか盛り上がる。

キミちゃんにとって、きっと一生忘れられない夏休み。

俺たちは結局、明け方近くまで盛り上がり、最後の夜を満喫した。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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