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yellow side

7年後

よく晴れた朝だ。

柔軟剤のいい香りが鼻を掠める。

こんな晴れた暑い日は、あの高校生の夏休みを…

今でも思い出す。

あれから冬は蟹旅行に、翌年も夏は海へ。

メンバーは変わらず、俺とまーくん、潤くんと翔ちゃん、ヨコと華ちゃんの関係で続いた。

俺もまーくんも同じ大学に受かり、潤くんはもちろん翔ちゃんを追いかけて俺たちとは違う頭の良い大学に入った。

その頃にはヨコと華ちゃんは同棲を始めて、今年の春、結婚しますという葉書が届いた。

俺といえば…

「まーくん!またポケットに小銭入ったままだよ~」

日当たりのいいベランダでパタパタと洗濯の皺を伸ばしながら声をかける。

『うわぁ、ごめん!気をつけま~す』

ソファーに横になっていたまーくんが起き上がる。

ベランダで栽培しているトマトにマグカップに入れた水をかけに来るまーくん。

「赤くなってきたね。」

少し屈んだまーくんのサラサラの髪が朝陽に光る。

『うん。明日には食べられるよ』

穏やかな笑顔に俺も釣られて微笑んだ。

こうやって、温かくて平穏な生活を

二人で過ごしている。

まーくんは大型のペットショップのトリマー兼マネージャーをしていて、大好きな動物に囲まれてはいるけど、あまり休みがないとぼやいている。

俺はゲームの制作会社に就職し、毎日大好きな事に没頭して、たまにご飯を食べるのも忘れてしまう。

でも、俺にはまーくんが側に居てくれるから、心配なことは何もない。

まーくんが洗濯を干す俺の手を引いて唇を塞ぐ。

「もう…まーくん」

『クフフ、今日も俺の姫は可愛い』

まーくんは額にもキスをしてご機嫌で部屋へ戻って行く。

俺はベランダで肩を竦めながらもまんざらでもない笑みが溢れる。

洗濯を干して部屋に戻ると、朝食が用意されていた。

『あ、そうだ!今年は翔ちゃんと松本は海外だから来れないってさ。あと、華ちゃんとキミちゃんも結婚式の準備で忙しいんだって』

目玉焼きをお箸で割きながら黄身が流れるのを眺め、そっかぁ…と返事した。

『今年は、二人っきりだね』

向かいに座るまーくんは頬杖を突きながら俺を見つめる。

俺はなんとなく照れ臭くてプイとそっぽを向き、箸をチョイチョイと振りながら返した。

「いっ!いつも二人だろっ!大差ないじゃんかっ!」

『ひっさしぶりだなぁ、カズのツンデレ』

ニヤニヤするまーくんに箸先を突きつける。

「誰がツンデレだよっ」

『おっと、危ないなぁ。行儀悪いよ。…覚えてない?』

「なっ!何が?」

『カズって呼び捨てにしたら、真っ赤になってたの。怒っててもね、そうやって呼ぶとすぐ機嫌直っちゃってさ。可愛かったなぁ』

可愛い高校生の頃を思い出しながらクスクス笑うまーくん。

「今は可愛くないみたいな言い方するなよ」

『ふふ、今ももちろん可愛いよぉ。…変わらないよ。ずっと大好き』

ガタンと椅子から立ち上がったまーくんは俺の顎を掬い上げてキスをした。

いつからこんなチャラくなってしまったのか、俺は苦笑いしながらも、また肩を竦めた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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