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nino

相葉さんの家で、潤くんの誕生日パーティーをするなんていう殆ど拷問のような企画が倒れて数日が経つ。

話を聞いて貰えそうな翔さんはタイミング悪く北海道に出張に出ていた。

モヤモヤとしたまま時間だけが過ぎる。

相葉さんには、潤くんに謝ると言ったくせに、まだ連絡出来ないままでいた。

ついでに言ってしまうと、相葉さんともあれから同じだけ連絡をとっていない。

飛び出した俺を汗だくで追いかけて来てくれた相葉さんは、告白なんかしてしまった俺に対して、ちょっとしたパニックに陥っていた様で、何を血迷ったかキスまでしてくれた。

あんな良い人に、あんな事をさせてしまうほど混乱させたんだ。

以前みたいに気軽に連絡出来そうもない。

『またっ!連絡するからっ!だから!ちゃんと出てね!』なんて言ってたけど、相葉さんからも連絡はない。

そりゃそうだよな…

同僚とセフレで、それなのに自分の事好きだとか言ってくる後輩に…連絡なんてしないよな。

「はぁ…もう、最悪だよ」

俺は会社のデスクに突っ伏した。

隣の同僚が落ちてる俺を見かねて女子社員から配られた個装してあるクッキーを目の前に置いた。

「何…これ」

「いや、甘いもの食ったらちょっとは紛れるらしいじゃん?女子が言ってたぜ。」

「何ぃ…急に優しくしないでくんないかなぁ、俺、今超メンタル腐ってんだから…泣いちゃうよ?んな事されたら。」

「ぅわぁ、泣くとか勘弁。おまえみたいな小っちゃいの泣かしてんの見られたら、俺、間違いなく虐めてるみたいになんだろ、やめろ」

手をヒラヒラされる。

俺はデスクに置かれたクッキーの袋を破いて中身を齧った。

「解決出来ない事?…最近ずっと浮かれ気味だったのに、何日か前から急に闇落ち状態じゃん。」

「ハハ…確かに。」

同僚に乾いた愛想笑いで応える。

「おまえさ、一人で考えててもダメじゃない?相手いるんなら、ちゃんと話ししなきゃ。その内仕事でミスするぜ」

同僚は普段ならあまり俺の事に踏み入って来ない。俺がそういったのを嫌うからだ。

だけど、あんまりに俺の様子がおかしいんだろう。

同僚の言う事は正しくて、俺はウダウダした何日かを思い返しながら、席を立った。

「ちょっと…連絡してくる」

時間はちょうどお昼休憩あたり。

携帯を睨みつけて深呼吸をする。

相葉さんのラインにメッセージを打った。

“あれから、元気ですか?

潤くんとは、大丈夫でしょうか”

どちらも本気で気になっていた事だ。

これに返事が無ければ、もう諦めよう。

ただの後輩でいるなんて事さえ…無遠慮で厚かましい事に違いないから。

送信してから身体の力を脱力させ、ペタンと通路に幾つか置かれたベンチに座り込んだ。

ガラス張りのビルから見える景色は、似たようなビルの重なり。

ボンヤリと手を組んで猫背のまま前を見据えていた。

内ポケットで携帯が震える。

振動が続いたので、電話だと慌てて携帯の画面を確認した。

電話の相手は相葉さん。

「ぅ…そ…」

俺は慌てて携帯に出た。

「も、もしもし…」

怯えるようなトーンの俺に、相葉さんは鼻にかかった優しい声で 

『ニノ』

と名前を呼んだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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