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aiba

「綺麗なデコレーションだな」

松潤が調理台の上のホールケーキを眺める。

俺は隣の松潤が作ったホールケーキを覗き込み微笑んだ。

『松潤のには敵わないよ。まだまだだなぁ、俺も』

「へへ…こっちでも負けてたんじゃ俺、可哀想じゃん。一応一年ここじゃ先輩だしな」

『くふふ…そうだね。それ、櫻井さんに?』

「あぁ…るせぇんだよ、あの人。今日は一ヵ月記念だろってさ。俺、記念日とか祝う程同じ人と長く付き合った事ないし。普通こんなもんか?」

頭をガシガシ掻きながら溜息をつく潤くんを見て笑った。

『うん…多分普通だよ。こういうのがさ…続くといいね』

二人で並んだ二つのホールケーキを眺める。

松潤は…

ほんの少し何かを思い出しているような切ない目をして…ケーキを見つめたまま、優しく微笑んだ。

きっとまだ…心のどこかにニノが居る。

俺はそれを責めたりはしない。

ニノを好きになった松潤の気持ちを、俺は分かってあげられる。

ニノは魅力的だ。

遊び人だった潤くんが溺れてしまったような人なんだから。

そして、何より、ノンケだった俺が溺れた人。

俺達はケーキをそれぞれ箱にしまい、冷蔵庫に入れた。

仕事終わり、同じ箱を手に下げて店を出る。

俺はニノが待つ彼の家へ向かった。

インターホンを押すと、中からニノが出て来る。

『こんばんは』

「こんばんは」

見つめ合って微笑み合う。

俺がゆっくり顔を傾けると、爪先立ちした可愛い恋人がキュっと俺のシャツを掴んだ。

重なる唇に甘い誘惑を感じながら先にケーキの箱を差し出した。

ニノは箱を受け取ると、幸せ一杯な笑顔でありがとうと言った。

『潤くんもね、翔さんにケーキ焼いてたよ。一ヵ月記念って催促されたらしい』

ニノはキッチンからアイスコーヒーの入ったグラスを手に苦笑いした。

「だろうねぇ。俺も今日ラーメン屋で散々聞かされたんだ。今日は潤とディナーに行ってとかなんとかね。デートプランは完璧だって息巻いてたよ」

困った顔のニノを見たら、櫻井さんの興奮っぷりがどんなだったか伝わるようだった。

松潤、愛されてるなぁ…良かった…。

「ケーキ、見てもいい?」

『勿論!』

ぼんやり考えていた俺は、ハッと意識を戻してニノに答えた。

箱からケーキを引っ張り出す。

『一ヵ月、一緒に居てくれてありがとう。これからも宜しくね』

そう付け加えると、ニノがケーキを見てウルウル瞳を揺らし始めた。

『えっ?!ニッニノ?泣かないでっ!ほら…あれ?しっ失敗した?まだ早かったかな?』

ニノはフルフルと首を左右に振る。

それから俺の肩にしがみついて言った。

「こんなの…夢みたいだよ」

俺はあんまりに可愛い反応に顔が綻んでしまう。

『嬉しい?』

「嬉しくて…死んじゃいそう」

『くふふ…そりゃ困りますねぇ』

俺はケーキの真ん中に作ったハートのクリームの中にある物を埋めていた。

指でそれをクリームごと掬い上げる。

ニノの前にクリームまみれの指をソッと差し出した。

『クリーム…舐めなきゃはめられないね』

そう囁くと、エロい目で俺を見つめながら、指のクリームを舐め取り始めた。

赤い舌が指に触れて気持ちいい。

殆どクリームが無くなった頃、最後の一舐めでカチンと歯に金属が当たる音がする。

俺の指先にはクリームから姿を現したリングだけが残っていた。

リングを手に、最後のクリームを綺麗に舐めとってやる。

その姿をニノは熱い目で見つめていた。

綺麗になった指輪をニノの左手薬指に通す。

『俺の大切な人っていう…証です』

ニノは指輪のはまった手を胸元に引き寄せ肩を震わせて泣き出してしまった。

華奢な肩を抱いて引き寄せる。

「好きです。…ぅ…ゔぅ…好き…貴方が好き…大好き…大好きだよぉ…」

『俺もだよ…ニノ…もし、良かったらなんだけど…』

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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