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masaki

翔先輩と別れて、ハイツに着いた。

家の中の電気は、ニノが居ようがいまいが付いていない。

居たら寝てる時間だし、居なけりゃ居ないで付いてないわけだから…それで気分の浮き沈みは起こらなくなった。

二年…

もう二年、一緒に居る。

何も伝わらなかったんだろうか

差し込んだ銀色の鍵を回して引き抜いた。

薄っぺらい扉は錆びたような音を立てて開く。

『ただいまぁ~…って…居ないか』

リュックをリビングに下ろして、洗面台で手を洗った。

鏡に映った顔がなんとも言えない色をしている。

翔先輩の別れろという言葉は、現実的じゃなかった。

バイトに出る前でさえ、俺は朝帰りして帰ったニノに出て行けと罵声を浴びせたのに、結局最後にはハンバーガーを食べさせて家に置いてきたんだ。

甘いにも程がある。

だけど…やっぱりニノが好きで…

ニノが弾くピアノと歌が、どうしようもない程に

愛しい。

俺はピアノの鍵盤の蓋を開いて、人差し指でポーンと一音鳴らしてみた。

別にピアノが好きなわけじゃない。

歌が特別好きなわけでもない。

高校生の俺が見た、音楽室で泣きながら歌うニノが弾くピアノが忘れられない。

あれが恋の始まりだったせいだろう。

『ニノ…俺と居たら…おまえはダメになっちゃうの?』

声に出すと妙にリアルで、それが突然本当の事になる気がしてしまって、涙が頰を伝った。

そのまま顎先に流れた雫は、鍵盤の上に落ちて

弾けた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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