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masaki

「…で、別れたわけか…」

バイト先の居酒屋のスタッフルームに翔先輩と二人立ち話をしていた。

『…俺のせいで…ニノがダメになるのは…さすがに嫌っすよ…』

「何か…俺、煽った手前、責任感じちゃうけど…」

『やめて下さいよ…俺が決めたんです…決めたのは俺ですから』

「…そっか…で、潤の家に暫く?」

『はい』

翔先輩は同じ大学なので、松潤の事も良く知っていた。

「三人でパァーっと飲むか」

翔先輩が松潤も交えての話で盛り上げてくれようと必死なのが伝わってくる。

だけど、さすがに暫く騒げそうもない。

『先輩…俺…』

翔先輩は肩を竦めながら苦笑いした。

「こりゃ、暫く無理そうだな」

『すみません…気、遣わせちゃって』

「何言ってんだよ。とりあえず休憩終わるし、戻ろうぜ」

『はい』

情けない顔をして笑った俺は、先輩と並んで店に出た。

気分は勿論晴れる筈もない。

客の手元にチラホラとびしょ濡れの折り畳み傘なんかが見てとれた。

外は雨が降っている。

ニノが、薄い毛布に包まって電気もつけずにTVの前のソファーにちょこんと座っている姿が浮かんでは消えた。

身体はソワソワと落ち着かない。

だけど…もう、あの家には…戻れない。

モヤモヤした気分のまま、バイトを終えて翔先輩と夜道を歩く。

「潤の奴、起きてんの?」

『いや、寝てるから鍵開けとくって言ってました。良い奴ですよね』

「アイツ、誤解されやすいもんなぁ、ハハ」

店にあったビニール傘をさす俺と翔先輩。

傘同士が何度か当たって雫が弾ける。

十字路まで来て、翔先輩は立ち止まり手を軽くあげる。

俺もペコッと軽く会釈して、お互い逆方向へ分かれた。

ビニール傘に雨音がこもる。

時折俯いた視界に現れる窪んだアスファルトに出来た水溜りを避けながら、溜息をついた。

傘の柄を握る指先に絆創膏がはってある。

愛しくて仕方ない人が、噛み付いた最後の傷だ。

俺はそれをビニール傘を打つ雨音の中、唇に押し当てキスをした。

簡単に、忘れて過ごせる人じゃない。

高校の卒業式に勇気を出して告白して以来ずっと大切な人だった。

今だって…

当たり前のように好きだ。

好きだから苦しかった。

誰かに触れられる事さえ、本当は許したくなかった。

『ぅ…くぅっ…ぅゔっ…ニノ……好きだよ…』

好きだよ…。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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