40

masaki

狭く古いハイツの寝室に、上等でもないベッドで愛しい人が寝息を立てている。

少しコケた頰を指先で撫でながら、その寝顔を見つめる。

ニノの歌が好きだ。

ニノのピアノが好きだ。

俺の為に一生懸命に作った曲が愛しくてならなかった。

俺が事故に遭ったなんて誤解して怒る顔が可愛くて仕方なかった。

身体に触れたら、固く閉じていた決意が一気に崩壊した。

初めから、頼りなく脆い決意だったせいだろう。

別れていた間でさえ、キミが好きで仕方なかった。

誰か他の人と…キミが幸せになる事を許せなかった。

初めから…キミは俺のモノで、俺はキミのモノなんだと…心がそう叫んでいたんだ。

身体を重ねて、正直驚いた。

俺を受け入れる場所は使われた形跡が無く、本当に浮気せず俺を想っていたんだ。

許してと…そう言ったね。

信じるよ、キミを。

もう誰にも渡せない。

目にかかる前髪を撫で上げると、ピクッとニノの眉が揺れた。

「まぁ…くん…」

『おはよう、お姫様』

「俺…」

『無理させちゃって…意識飛んだみたい。』

ニノはボンヤリ天井を見上げながら呟いた。

「腹上死…悪くないなぁ」

『もぅ…またそんなバカな事言うんだから。』

ニノはクルっと顔をこっちに向けて、真剣な顔で続ける。

「バカな事かな?…俺、まーくんとヤッてる最中に逝けるなら全然悔いとかないよ?」

真っ直ぐ俺を見つめるもんだから、苦笑いしか出来なかった。

『生きてて貰わないとヤダよ。沢山セックスするんだから…』

「ふふ…まーくん変なの」

『変じゃないよ。』

俺はニノを抱き寄せた。

頰を擦り寄せ頭を胸元に引き寄せる。

「…まーくん…」

『ん?』

「雨…止んだみたい」

『あぁ…確かに…雨音、しないね』

「寒くなる?」

ニノがギュッと更に抱きついて来る。

『そうだね…でも…俺が居るから大丈夫。』

ニノはジッと琥珀色の目で俺を見上げた。

『ど、どうかした?』

「ううん…俺もそう思ってたから。寒くなっても、俺にはまーくんが居るって。…きっと…ずっと」

『…そんな事言われたら…何でも頑張れそうな気がするな』

腕の中のニノを腹の上に抱き上げる。

ニノはツーッと俺の胸元を指先で撫で下ろし、ニヤリと笑うと囁いた。

「じゃぁ…もう一回、俺を愛して」

俺はキミの細い腰を両手で掴む。

It’s always darkest before the dawn.

そう歌ったキミの暗い夜は明けただろう。

俺はキミを

照らすから。

END

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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