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25日、少しの雪が降り続き、言葉の上ではギリギリホワイトクリスマスの夕暮れ。

バイト先に車で送って貰った俺はまだ革張りのシートの匂いに慣れないままだった。

 

燕さんとはキスをして、添い寝をしただけ。

エッチな事はされなかった。

されなかった…なんてガッカリしてるんだろうか。

俺は不貞腐れた顔をして窓の外の流れる景色に溜息をついた。

「なぁんだよ。離れるのが寂しくなって来たか?」

「残念ですね、俺は大丈夫ですよ。寂しいのは燕さんでしょ。」

燕さんがポカンとビックリした顔をするもんだから変な事でも言ったかと顔が赤くなる。

「なっ!何て顔してんですかっ!!前向いて下さい!前っ!!」

「ああ~!ハイハイ!…ふふ」

「不気味な笑い方もやめて下さい」

「天ちゃん…禁止事項多すぎぃ。あ、そうだ、次いつ会ってくれる?」

俺は話の流れを無視してくる燕さんにうぐっと変な声が出た。

「つ、次ってなんですか?」

「えっ?酷いなぁ、一夜を共にした仲なのに」

「あぁ!もう!その変な言い方もダメっ!」

真っ赤になって怒る俺に、燕さんはククッと笑いを噛み殺す。

車は店の前の道にハザードを点滅させて停車した。

「ぁ…ありがとうございました。」

運転席に回って、開いた窓にお礼を告げる。中から燕さんの長い腕が伸びて来て、俺の首に回されると、そのままグイと窓の中に引き寄せられた。体勢を崩し運転席に顔を突っ込んだ俺の唇がしっかり彼の唇で塞がれた。

「燕さんっ!」

「アハハ、隙だらけ。変な客に尻触られんじゃねぇぞ。」

「あんたが言うかっ!!」

そう返したら、またあの寂しく冷たい顔をして笑った。

「言うよ。おまえは俺のだもん。じゃ、またな」

「ちょっ!」

走り去る高級車の窓からヒラヒラと手が振られてテールランプはあっという間に小さくなった。

歩道に残された俺は自分の唇を撫でる。それから、憎まれ口のように悪態を吐いた。

「俺のだもんって…勝手に決めんなよな…」

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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