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雲の上の宮殿

片翼違いのボス

天国へも地獄へも行けない俺

魂の回収と門扉までの送迎

ブラック企業まがいの会社から、完全にブラック企業に再就職。

「二宮和也、お前は上から選ばれちまったんだよ。よって、あっちにもこっちにも行けない。」

大野智は自分の背中の羽の左右を指さしながら話を続ける。

「チーム名は嵐、ボスは俺だ。後、メンバーは番いで動いてもらう。ニノ、お前の相棒は相葉ちゃんだ。後は…もうすぐ来る頃なんだけどな」

顎に生えた髭をザラザラ撫でて大野智はニヤニヤと笑った。

そこへ凄い風が吹き込んで目を開いて居られないくらいの光が走る。

俺は腕で顔を覆い隠し、足を開いて踏ん張った。

身体に風が当たらなくなったかと思うと、俺は相葉くんに抱きしめられて彼の大きな翼に包まれていた。

良い香りがして、思わず目の前の羽に触れてしまう。

『ぅわっ!二宮さんっ』

顔を真っ赤にした相葉くんが巻きつけていた片翼をバサッと開いた。

え…もしかして羽…感じるのか?

俺は俯いて「ご、ごめん」と呟いた。

「何イチャイチャしてんだよっ」

そこへハリのある声がかかる。

相葉くんのもう片方の翼も身体から離れ、ポツンと立ち尽くす俺に二人の男が近づいてきた。

「潤、やめろ。新しいメンバーだぞ。」

「フンッ…なんか冴えない顔してんなぁ?本当に選ばれたのかよ」

さっきから俺に暴言を撒き散らかすクリクリヘアの美青年。

それを止めに入る堅物そうな銀縁眼鏡の美青年。

何だかキャラが濃い…。

俺の後ろでバサッとまた大きな翼の音。

振り返ると、大野智が佇んでいた。

特に何を言うわけではないけど、圧倒的に圧力が凄い。

美青年二人が相葉くんがしていたように片膝を突いて手を胸元に引き寄せ一礼する。

何?御伽の国なの?王子なの?キラキラが凄いんだけど。もぉ~ヤダよ~。俺はもう!それはそれはっ地味に生きてきたんだから!

村救って英雄になって目立つのなんてゲームの中だけで十分なんだからね!

「二人とも、悪いな、仕事中。コイツが新しいメンバー、二宮和也だ。ニノでいい」

「はっ!かしこまりました。」

「左が櫻井翔、実質ここの指揮官だ。右の派手なのが松本潤、成績優秀なエリートってヤツだな。二人も番いで動いている。何か分からなければ、聞くといい。先輩だからな。」

大野智は満足そうに微笑むと、指先だけひらひらさせる独特なお手振りを残してあっという間に消えた。

途端に宮殿も姿を消し、ただの空中に放り出されてしまう。

俺は急速に身体が落ちて行く。

「ぅっそだろっ!!」

このままじゃ地上に叩きつけられる!!

ギュッと目を閉じた瞬間だった。

身体が横向きにフワフワと浮かぶ。

まただ…良い香り。

俺は目を開いた。

身体は相葉くんにガッチリお姫様抱っこされており、目の前では松本潤が腹を抱えてケラケラと笑い転げていた。

隣りをスマートに飛んでいる櫻井翔は銀縁の眼鏡を押し上げ

「潤、あんまり揶揄うな。仲間だぞ」

そういうと腕組みをした。

松本潤はそんな櫻井翔に後ろから抱きつき、首筋に舌を這わせながら俺を睨んだ。

「仲間…ね。じゃ、親切に忠告だ。翔くんは俺の番いだからな。手を出したら殺す!」

切長の瞳と長い睫毛が印象的で、俺はゴクッと喉を鳴らす。

櫻井翔は後ろから抱きつく松本潤の頰を撫で、その額に口づけた。

「その辺にしろ、潤。お仕置きが厳しくなるぞ」

「チッ…分かったよ」

「悪かったな、ニノ。俺は櫻井翔。翔で良いよ。あっちは松本潤。みんな松潤て呼ぶけど、まぁ、好きに呼んでやってくれ。誤解されやすいタイプなんだよ。根は優しい頑張り屋だ。」

「は…はぁ」

相葉くんに横抱きにされた情けないスタイルのまま自己紹介にあずかり恐縮する俺。

「ボスはあまりちゃんと説明しなかったけど、つまり君は天界から天使として選ばれた人材だ。天国にも地獄にも行けない。そして、この中間区での生活が始まる。あぁ、天界と下界の間が俺達の生活圏だ。」

「こ、こんな雲しかない所でですか?」

俺は辺りを見渡す。

地上が見える足元、当たり前だか建物ひとつない。

「あぁ!そうか、まだ羽を機能させられないんだったな」

ポンと手を打つ翔…くん。

絶対年上だよな…で、あっちは絶対年下か同じくらいだ!

向こう側で寝そべったように浮かぶ松本潤をチラッと眺めると、ビュンと風の音が鳴り、目の前に彼が現れた。長い綺麗な指先が俺の顎をクイと持ち上げる。

「ヒッ!」

「メンバーだからな、良い店紹介してやるよ。相葉くん、あの店。」

『シャンティですね?』

「あぁ、上田には連絡しとくよ」

バサバサッと羽音がすると目の前の男はすでに翔くんの側に居た。

随分とベッタリだ。

男同士…だよな…。

「じゃ、後は相葉くん、頼んだぜ」

『はい!』

目の前の二人は霞むように消えた。

「あ、相葉くん、あの二人消えた?あ!それよりごめん、重いよね!」

『消えたように見えますよね?まだちょっと向こう側の交差点を歩いてますよ』

交差…点?

はい?

俺は相葉くんを見上げる。困惑しまくった俺を見て、気の毒そうに苦笑いすると、綺麗な白い翼を羽ばたかせた。俺を横抱きにしたままフワリと浮かび上がる。

身体が無重力を漂い、いつしかスピードを上げ始める。

「あっ!あのさっ!俺っ!羽!生えてるよね?!なんで飛べないで落っこちるの?!」

相葉くんは俺を見下ろしニッコリ微笑んだ。

『今は飾りみたいな物なんです。背中と翼が一体化して、きちんと思いのままに動かせるようになる為には薬が必要なんですよ。…まぁ薬にも色々ありまして…あっ!その薬を売ってくれる方を松潤が紹介してくれました。ですから今からその方の元へ向かいます。もう少しですから」

相葉くんはそう言って更にスピードを上げた。ただ何もない空を飛んでいるだけに思うから真っ直ぐ進めば良いのに随分と蛇行する。そのせいか乗り物に弱い俺は酔いそうだった。

「俺、船とかダメなんだ!ウッ…気持ち悪っっ!!」

『うわぁっ!二宮さんっ!!我慢っ!我慢してっ!』

吐きそうになるのを堪えてやっと一つの雲の上に下された。

『着きましたよ。行きましょう』

相葉くんは微笑んだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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