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「ねぇ、今からどこ行くんだ?すっかり暗いし…」

口には出せなかったけど、随分疲れていた。

チャイナタウンのような街並みが途切れると、至って普通の街並みが広がっている。

車に似たタイヤの無い乗り物も走ってる。

なんなら近未来的じゃないか。

『家に帰りましょう。俺たちは番いなので、家は同じになります。簡単に言うと、シェアハウスって感じだと思って下さい。』

「へ、へぇ…シェア…ハウスね。」

そう言ってズンズン歩き、小高い丘の上にある白い一軒家に着いた。

坂道はキツかったけど、眺めが絶景だ。本気で羽使わないで歩くんだなと実感させられた。

丘の上からは街並みが一望出来る。

「良い場所だね。…生きてる時より優遇されてる、ハハ、おかしなもんだ」

夜景を見下ろす俺を目を細めて見つめる相葉くん。

「あれ?俺、変な事言った?」

あんまりに優しい眼差しで見つめてくるから恥ずかしくなって慌てた。

『いや、そんな事。でも、確かに、生きてる時よりは…まぁ、その分大変な事もあるかも知れません。あまり油断しないように』

高校生からの忠告にしては立派だな。

俺は寒さにズッと鼻を啜り、曖昧に頷いた。

家は平屋で、バルコニーが斜面に突き出た形で付いていた。

「すっごいなぁ…お月見し放題じゃん」

『ハハ、下界と違って水平に見えますよ。不思議な感じなんです。空間に挟まれているせいでしょうね。科学的な物とはズレがあるんですよ。だから、人間には見えない世界が存在してるんです、この中間区。』

相葉くんがキッチンでコーヒーを淹れてくれる。

差し出されたカップも、中身の液体の色も、下の世界と何も違いなかった。

「本当に…不思議な世界だね」

フーッとカップに息を吐き、コーヒーを一口飲む。

「美味いっ!」

『本当ですか?良かった!』

「相葉くんは高校生なのに大人だね。俺なんてブラック飲めるようになったの最近だよ」

何の気なしの会話だった。

相葉くんが固まって俯いてしまう。

「え…何か悪いこと言っちゃったかな」

慌ててソファーから立ち上がり彼に歩み寄る。

『あぁ…いえ、大丈夫です。俺、死んだのは17歳なんですけど、中身は22歳なんですよ。』

「え?」

『まぁ、簡単に言うと、外見は年を取りません。でも、中身は確実に老いていくんですよ。天使なので、よほどの事が無い限り存在が無くなる事はありませんけど…妙な感じです。もう…5年も経つのにあの時と同じ見た目でいるんだもん。』

苦笑いする相葉くん。

中身は老いる…。

確かに妙な響きだった。

何となく空気が澱んだ気がして話題を変える事にした。

「そっ…かぁ…あ、そうだ。今日シャンティで飲んだ薬…アレってさ、何なの?相葉くん知ってる?」

相葉くんは俯いていた顔を上げ俺をジッと見つめた。

ドキッとしたのは、この真っ黒な瞳のせいだろう。後、ソワソワしてしまうくらい、彼からは良い香りがしている。羽をフワフワされると堪らなかった。

フイと目を逸らしてカップに視線を落とす。

相葉くんが呟いた。

『ニノって…案外無邪気…と言うか…無防備ですよね?』

その言葉の意味が分からず、はぁ?と首を傾げた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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